2011年06月10日

第一話『草食系サラリーマン』前編

若くして麻衣は幼稚園から高等学校までの
一貫教育を実践している学園の理事長の椅子に
収まってから早、1年の時が過ぎた。麻衣が
直接、教育現場で教鞭を振るう事は無かったが
彼女が理事長になってからと言うもの、確実に
学園の内外での風紀は正されていった・・が
彼女の教育指針に異論を唱える理事の反対勢力
だった年長者もまた少なくは無かった。
そんな息も詰まる様な理事会を終えた麻衣は
行き着けの立ち飲みで憂さを晴らそうと学園から
程近かった、大井町駅で途中下車し、そのまま
人ごみの流れに身を任せ、紛れる様に裏通りへ。
すると、見慣れた制服を着た女子ら3、4人が
いかにも就職したばかりと判る様なピカピカの
スーツに身を纏った青年を路地奥の死角で取り囲み
何やら、因縁をつけていた・・

(おやじ狩り?それにしても・・若いわねっ)

『えぇ〜と・・2年の高見さんに、榊さん・・
それから、そうそうっ!渋沢美香さん・・よね?』

麻衣は自分の学園へ通うほとんどの生徒の名前を
フルネームで記憶していた、それだけではなく
特に素行が悪い生徒の成績や性格、友人関係更には
その生徒の家庭環境までもある程度把握していた。

「ひっ・・どうして?麻衣が・・」
(あのね・・一応、理事長なんですけど・・)

一部の高等部の生徒は何故か?理事長である彼女を
麻衣と・・さも友達感覚で呼び捨てで呼び合っていた。

『何してんの?・・なんて野暮な事は聞かないわっ
お金が欲しいならバイトでも何でもしなさいな・・
いくらお金は天下の周り物と言ったって、その彼の
お財布のお金はあんたらの物にはならないのよっ!
判ったら、早く家に帰って冷たいシャワーでも浴びて
頭を冷やしなさいっ、ほら・・帰った帰った・・』

はい・・それじゃぁ・・失礼しますっ!

(失礼しますって・・私はあんたらの
頭じゃないっつうのっ!やれやれ・・)

『あぁ・・それから当分の間、あなた達3人は
別々に下校する事っ!良いわねっ・・ねっ!』

は・・はいっ!絶対にっ!

この女子生徒らも学園内の生徒間で時折耳にする、
麻衣のある噂を聞いていたのだろう、彼女に対して
だけは誰も逆らおうとはしなかった・・

「あ・・あの・・先生なんですかぁ?高校の・・」

『そう・・高校のね!その高校生になんですかぁ!
僕ちゃんは、一生懸命稼いだお金を差し出そうと
したじゃないのぉ〜、いったい?どの位渡そうと
したのかなぁ?お姉さんにちょっと見せてご覧ッ』

ああ・・そ・・それは・・

麻衣は今にも彼が女子生徒らに渡そうとしかけた
財布を取り上げ、中身を検査し始めた・・

『ふ〜ん・・クレジットカードに現金が4千円ね。
僕ちゃんって、見かけによらず結構、賢いのね・・
クレジットカードなら後で保険も利くし、現金も
この位なら諦めも付くってとこかしらぁ〜?』

は・・はいっ!そうなんですぅ〜、へへっ

『笑い事じゃないわよぉ〜、僕ちゃんがもし?
あの子らにお金を渡したら犯罪が完全に成立して
しまうじゃいのっ!逆に・・少しは、あの娘たちに
お説教をしたり出来なかったのっ!情け無い・・
そんな子にはお仕置きしてやらないと駄目ねぇ〜』

ふへ?自分にですか?あの生徒じゃなくて・・・?

『あの子たち?あの子らは、二度とこんな事はしないと
思うわよぉ〜、なんせ、この私に目を付けられたんだ
からね・・そこまでは・・馬鹿じゃないわ・・うふふ、
この問題はぁ。僕ちゃんの方なのよぉ〜、判るぅ?』

あの・・僕ちゃんじゃなく幸平なんですけど。

『あっそうっ、じゃぁ幸平ちゃん私と一緒にいらっ
しゃいっ!さすがにここでお仕置きは嫌でしょ?
あそこの陸橋の上は今の時間誰も通らないのよぉ』

普通なら、この場で誰もがその場を後にする所だが
麻衣の魅惑的な視線と艶っぽいその体に惹かれない
男性はいなかった、ましてや彼女から発せられた
お仕置きという言葉の意味を嫌らしく解釈する輩も
少なくはなかった。

『ここって、やっぱり良いわぁ!この時間は電車も
ひっきりなしに通るし、いっくら、わんわん泣いても
大丈夫だもんね?今夜は特別だからね・・あんまり
普段、お外ではやらないんだから・・今日はとっても
良い子になってお家に帰るんですよ・・良いわね?』

麻衣が彼の前へしゃがみ込むと真っ直ぐ幸平の
顔を見あげながら、ズボンのベルトを緩め出した

「えぇ・・?もう?こんなとこで・・ははっ」
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posted by kanti at 15:26| 神奈川 ☁| 天才スパンカー麻衣の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする